
GENZAICHI
File No.011 Daisuke Hayakawa
Game – CG
ヒューマン名古屋校一期生としてCGを学ぶ。
そんな経験も糧に夢だった小説家の道へ。
GENZAICHIゲンザイチFile No.0011 早川大介さん
●プロフィール
早川大介さん Daiske Hayakawa (小説家としてのペンネーム:十三不塔)
生年月日·年齢 1977/12/19 48歳
総合学園ヒューマンアカデミー名古屋校CG専攻
1998年卒業

声優·俳優、ゲーム、音楽、動画、マンガ·イラスト、デザイン、IT、スポーツ、ビジネス、フィッシング、ヘアメイクなど。多岐にわたるカレッジの中で、各業界と連携した実 践的なノウハウを学び、即戦力となるスキルを身につけられるのが総合学園ヒューマンアカデミー。学生たちはやがて社会でそれぞれの道を歩んでいくわけだが、具体的にはどん な職場でどんな仕事をしているのか? そんなヒューマン卒業生たちの“現在地”を、本人の インタビューと共に紹介する当企画。
No.011はヒューマンアカデミー名古屋校一期生としてコンピューターグラフィックを学ぶも、子供の頃からの夢であった“小説家”となる道を実現させた、SF小説家、十三不塔氏こと早川大介さん
卒業後にヒューマンで講師を勤めた経験も持つ早川さんが、どのように小説家の道を切り開いていったのか、を振り返ってみたい。


十代の頃から夢は小説家。しかし現実を見据えてヒューマンに入学
「学生の頃からずっと作家、小説家になりたいな、と漠然と思っていたんです。ですがなり方もわからないし他にやりたいこともなく。でも進路は決めなきゃいけない。そんな時にたまたま入学説明会に足を運んだのがヒューマンアカデミーでした」と、ぶっちゃけたトーンで入学のきっかけを話してくれた早川さん。確かに作家になりたいと思えば、現代であればとりあえずSNS等で発表するもよし、数ある投稿サイトに当たってみるのもよし。
目の前の板を使えばコンテストの情報だってすぐに集められます。しかし早川さんの学生当時はそのような情報も少なく、そもそも情報の集め方もわからない。じゃあ少しでもきっかけ、チャンスがありそうなところにアプローチしてみるのは当然の行動だったのではないでしょうか。
では専攻はやはり物書きに関わるような系統だったのでしょうか。

この日の取材撮影は、早川さんと同じくヒューマンアカデミー出身の卒業生が現在勤める『氷信堂S.』さんをお借りしました。通年営業&カスタムオーダーできるかき氷専門店で、矢場町グルメの1つとして、イチ推ししたいお店です。
「いやそれがCG(コンピューターグラフィック)科でしたね。特に理由はなかったはずなんですが、今考えると当時CGは空想のビジュアルを構築するための最先端技術であったわけですが、今の自分は空想科学がネタであるSF小説を書いてるわけで、やっぱり一貫してるのかなと(笑)」
アカデミーでは今に繋がる出会いもありつつ真面目にCGを学ぶ

「ほとんど親へのいいわけで入ったようなもんだったんですけど、入ったら入ったで毎日とても楽しかったんですよ。コンピューターグラフィックを学ぶのも面白くてちゃんと真面目に勉強してましたし(笑)。色彩学の授業などは今でも覚えているほど興味深かったですね。それに名古屋校の第一期生というのもあり、おそらく今以上に生徒と講師の距離が近かったのを覚えてます」。
いまでも生徒と講師陣との距離の近さはヒューマンの特性と言われていますね。
「多分その頃から続く伝統なんでしょうね。特にあの頃は講師陣も若い方が多くて自分ら生徒とほぼ同世代なんて方もいましたので、とても近い関係性で。それに他のカレッジや科の生徒さんとの交流も、今考えると活発だったんですよ。よく“和気藹々としてアットホーム”って言いますけど(笑)あの当時は本当にそれでした。

実際20年以上経った今でも当時の同級生や講師さんと交流や友達付き合いが続いてます。あの頃は勉強も遊びも全力で楽しんでたからというのもあると思いますが。
それに当時名古屋校で教鞭を取ってらっしゃった方で、今でも現役で講師をやってらっしゃる方などには卒業後もお世話になったりもしていますし、ヒューマンで得た一番大きな糧は人間関係かもしれないですね」

卒業後は職を変え講師もしながら小説家への夢に向かってひた走る
「卒業してから初めて就職して働いたのは貿易関係でした。ただやっぱりちゃんと小説家へのチャレンジをしておきたいな、とそこを一年で辞めてからはアルバイトをしながらコンテスト用に自分の作品を執筆する日々でしたね。パチンコの景品運びのバイトとか。
で、そのパチンコ関連のバイト経験をネタに内容を膨らませて書いた作品で小説デビューできたんですよ! ただバカ売れしたわけではなかったのでなかなか生活が立ち行かないので、結局働きながらの二足の草鞋状態を長く続けていましたね」
働きながらの執筆活動という二足の草鞋状態とは、お話を聞いただけでも大変さが想像できるが、この頃にもヒューマンで培った人脈が活きたことがあったようです。
「ちょうどその頃は執筆活動の傍、広告代理店でCGの技術を活かしてグラフィックデザイナーとして広告のクリエイティブを作っていたのですが、なんとなく母校に顔を出してみたら、当時からいらっしゃる講師の方が、自分が小説を書いてるというのもご存知だったんです。で“ヒューマンでシナリオを教えてみないか”とおっしゃっていただいて。そこから20年近くに渡ってシナリオの講師をやってました。なんだかんだヒューマンアカデミーにはお世話になってますよ(笑)」
作品が著名書評家の短編集に選出され「ちょっとホッとした(笑)」

一度目のデビューの後もそれだけでは食えず、育ててくれたヒューマンアカデミーで講師を続けながらも再度小説家として浮き上がるため、面白い作品を目指して執筆を続けていた早川さん。
その努力が無駄ではなかった、この道が間違いではなかった、と思える出来事も。少しずつ作品が日の目を見るようになったことで小説家としての軸足を徐々に強固にしていきました。
「『絶笑世界』という短編がSF小説の書評等で著名な大森望さんが演出するSF短編小説集『ベストSF2022』(大森望編)という本に収録されたことは特に嬉しかったですね。この短編集はその年に評価の高かった作品を集めたものですが、このような形に残る評価をしていただいたことでモチベーションも上がりましたし、なによりホッとしました(笑)。
いまはSF小説家としての活動のほか、メディアの台本やゲームシナリオ、お芝居などの脚本も書いています。東海ラジオのショートドラマやショートコント的なネタの台本などをやっていましたこともありました。他にもゲームシナリオはヒューマンの現役講師の方と組んでやってたりします。泡沫の青っていうタイトルのホラードラマです。
芝居はヒューマンの講師で劇団持ってらっしゃる方がいて、その方の劇団パフォーミングアーツさんの定期公演とかをお手伝いしていますね」。

テキストとビジュアル、音声で楽しむアドベンチャーゲームの一種の『ノベルADV』。その中で『泡沫(うたかた)の青』を手がける十三不塔(早川)さん。姉の幻影を追う女子高生と謎のペンギンが導く冒険と謎解きが魅力のストーリーも高い評価を受けている。
人と比べるんじゃなくて、業界を盛り上げるために共生していきたい


いわゆるジャンルものと言われるSF小説の世界は、そこそこ狭い業界なのだそう。だからこそファンはもちろん小説家仲間との繋がりが重要といいます。
「SFジャンルって意外に狭い業界で、作家仲間との横のつながりが強いんですよ。だから誰かと自分を比べるってことはしなくなりましたね。やっぱり落ち込むじゃないですか。特に最近は一般の方の書評も見ることができたりしますから(笑)。読者さんから良い評価をもらえるのが一番嬉しいですけど、思い通りにいかないことも多いので」
そんな早川さんに、20年近くの作家活動を通して学んだことや、さらなる目標なども伺ってみました。

「先ほども言いましたが、SF業界は良くも悪くも狭い世界なので、イベント活動や仲間内での小さな仕事など、ぶっちゃけあまりお金にならないようなことも可能な限り引き受けるようにしていますね。そういった活動がどこかで何かに繋がるんだということを、作家活動を通して学んだので。
作家としての今後の目標ですか?そうですね。やっぱり大きな賞を獲りたいですね! それとSFに限らず様々なジャンルにも挑戦していきたいですし、それと今一番興味があって目指しているのはメディアミックスです。今ってコミックやアニメなどの数がウェブや配信なども含めると物凄い数が出ていて需要があるんですよね。そこで話題になるような原作を手掛けたいですね。実際仲間にもいますしね」
先輩から後輩へアドバイス

「とにかく若いうちは好奇心と行動力さえあれば、どんな道でも開けると思います。例えばカテゴリーでもいいし人でもいい、面白いと思ったらあつかましいぐらいにアプローチしてください。間違いなくその方が結果が出やすいと思いますよ。まあその場合、可愛がられる愛嬌も大事ですけどね(笑)」
早川大介さん/ペンネーム「十三不塔」 リリース情報
·ハヤカワ書房『ラブ·アセンション』
恋愛リアリティショーを題材にした小説
·志学社『宇宙大将軍侯景SFアンソロジー 梁は燃えているか』
宇宙大将軍侯景をインスピレーションの種として、15名の作家が銘々に紡いだ15篇の物語を収録。
カクヨムネクストで現在連載中!
・『氷鉄のフロンティア~転生ロボット工学者、ゴーレム直してたら技術革命起こしちゃった~』
PHOTO:内田 俊輔 / TEXT:藤川経雄 / EDITORIAL:賀川 真弥
