
GENZAICHI
File No.005 OUR SONGS


同じ志を持った仲間たちと紡ぐアンセム 音楽フェス~OURSONGS~
GENZAICHIゲンザイチ特別編 『OURSONGS』
イベントプロフィール
OURSONGS IN THE PARK’24
開催地:沖縄県名護市 なごアグリパーク
開催日時:2024/11/16
参加アーティスト(敬称略)
KREVA/唾奇/SIRUP/OZworld/Rickie-G/U-zhaan×環ROY×鎮座
DOPENESS/柊人/HOME/荒谷翔太(solo set)/StinkingBlueBeat

OURSONGS終盤での2ショット。1日中動き回った2人(右:岩崎さん/左:花岡さん)は万歩計7万オーバーと脅威の歩数だが、表情は充実感に満ちていた。
●プロフィール(右)
岩崎 弘さん HIROSHI IWASAKI
総合学園ヒューマンアカデミー大阪校
マスコミ芸術カレッジ音響エンジニア専攻
2006年卒業
勤務先:ヒューマンアカデミーミュージックカレッジ主任
合同会社ミモロワークス代表
株式会社OURSONGS取締役
仕事内容:講師(ヒューマンアカデミー)
ステージエンジニアリング全般/レコーディングエンジニア全般/音楽コンテンツ制作/イベントオーガナイズ(ミモロワークス/OURSONGS)
モットー:楽しくゴミ拾いできる人になること。何事も楽しんで取り組む、120%で取り組むことをモットーにしてます。やりたいことをやるではなく、やりたい仲間と仕事するがテーマで仕事をしてます。
座右の銘:為世為人
趣味:人間観察
●プロフィール(左)
花岡 大真さん DAISHIN HANAOKA
総合学園ヒューマンアカデミー大阪校
スポーツカレッジ ダイビング専攻
2004年卒業
勤務先:フリーランス
仕事内容:映像クリエーター、音楽イベント運営、アクティビティ事業ETC
モットー:頼まれたら引き受ける、どこへでもマメに顔を出す
座右の銘:なんちゃなる
趣味:仲間とごはん、シュノーケリング
「ネオパークオキナワ」は名護市にある動植物公園。国内動物園で唯一飼育しているヤンバルクイナやアオコブホウカンチョウなど約105種類2000点ほどを園内で見ることができる。
沖縄県名護市で5000人規模のフェスを成功させた手腕、
そしてその“想い”とは



OURSONGS前日も深夜までスタッフと準備。前回より入場者数が倍増することもあり、入念に打ち合わせていた。
2024年11月16日。その日、沖縄県名護市にあるNAGO AGRI PARKは夕闇とともに雨が吹きつけるあいにくの悪天候であったが、雨と汗まみれで疲労の限界に達していたにも関わらず、岩崎さんと花岡さんの心は晴れやかだった。2024年を通じて自分たちの手で企画した音楽フェス「OURSONGS IN THE PARK’24」が大成功のまま幕を閉じることができたからだった。

OURSONGSの裏方スタッフにはヒューマンアカデミー卒業生が多数集結しており、写真左の池田さんもその1人。学生時代はマスコミ芸術カレッジ音響エンジニア専攻。(今後GENZAICHI掲載予定)
「名護開催は今回で4回目。(認知されていっていることもあり)、徐々に集客も増えていき、前回は2000人。今回は倍以上の5000人規模での開催だったので、単純に準備も人員も倍以上。大変だったのは当たり前ですが、その分翌日の打ち上げは凄い楽しかった(笑)。仲間みんなで頑張れて、みんなで喜べたのが単純に最高でしたね!」(花岡)
「大真が言うように成功できたのは単純に嬉しかったです。だた、テクニカルな裏方を統括する身としては規模が倍以上になった分、現地スタッフの手も借りないといけなかったので、その辺りの意思の疎通に課題が残ってしまったのはちょっと残念でした。同じ志も持つ血の通った仲間とやりたい、というのが私のテーマですし、だからこそ上手くやれると考えているので。でも成功してよかった(笑)」(岩崎)

会場入口には過去開催のOURSONGSの写真をズラリと展示。参加したことのある方たちが懐かしみながら眺めていたのが印象的だった。
とはいえ那覇市や中部ならまだしも、名護市で5000人規模の集客が可能なフェスとなると、一朝一夕では実現不可能。そのあたりに水を向けてみると『OURSONGS』には歴史があり、彼らの想いが深く込められていることが見えてきた。
OURSONGSの始まり

CIRCUS時のお話はFile No.003 Daishin Hanaoka(https://genzaichi.jp/?p=170)をCheck it.
そもそも『OURSONGS』を紐解いていくと、遠く7年前の大阪心斎橋 CIRCUS Osakaまで遡る。同じヒューマンアカデミー出身の花岡さんと岩崎さんが、CIRCUS Osakaのメンバーと一緒に卒業生の仲間を集め、配信イベントとして開催したのが源流。アカデミー卒業生が、コロナ禍にアーティストと一緒に音楽を盛り上げていきたいという想いから誕生したイベントだったわけだ。とはいえ当時はオンライン配信ライブというカタチのイチイベントだった『OURSONGS』が、なぜ5000人規模の音楽フェスにまで大きくなっただろうか。

ぐずついた天気も関係なし! 会場には好きなARTISTSを見るため多くの来場者が! 客層も若い男女からファミリー、中高年層と幅広いファンがネオパークに集まった。
“アンセム”コンセプトと地域密着を融合
地域発信のフェスとして急成長を遂げる
「きっかけは自分が名護に移住したから、というのが第一。そして自分と一緒にブッキングを担当している運営メンバーの1人が、以前名護でイベントを開催していたという経緯もあって。当初は名護以外の沖縄の他地域も考えましたが、やはり地域密着型として『OURSONGS』をやれれば面白いんじゃないか、というところに帰結しました。『OURSONGS』の自分達の歌、大事に心に灯っているアンセムというコンセプトというのもあり、名護なら自分たちらしいイベントになるのではないかと」(花岡)


「名護は地元感というか、いい意味でまだ情報化社会に毒されてない空気を感じましたし、音楽フェスというのもかなり真新しく受け取っていただけて(笑)。だからこそイチから自分たちで作り上げることができているのが強みなのではないでしょうか。現時点でも関東や関西などではできないオリジナリティも作り上げることができていると思っていますね」(岩崎)


つねに各担当からの入る連絡にも冷静に対応する岩崎さん。荒天&5000人規模のイベントにも関わらずOURSONGSはスムーズに進行。
地域密着なので自治体との折衝や地元の企業や人々との連携は欠かせません。2022年から名護で開催しているのですが、自分が名護市民というのもあり、回数を重ねていくことで地元の方々との関係性がより強固になっている気がします。今では普段大阪在住の岩ちゃんも地元の方々に認知されていますし(笑)、『OURSONGS』の認知度も飛躍的に向上しています。そういったコツコツ続けてきたことが実を結んできつつあるからこそ今回の成功に繋がったのだと思いますね」(花岡)
終日雨と曇天の繰り返しだったが、会場の興奮は冷めやらずといった状況。最後を飾ったRickie-Gさんの最後尾には2人の姿が。
ヒューマンアカデミー卒業生同士だからこそ
理解し合える関係性
ちなみにこの2人は同じ卒業生ではあるが、実際に行動を共にするようになったのは卒業して以降、お互い講師の立場になってから。どちらからともなく自然と一緒にビジネスをやり出したということは相当にウマが合うのだろうが…。



途中、激しい雨に何度も見舞われ、服も靴も全身ズブ濡れになりながらもスタッフの頑張りもあって機材はノントラブル。
「大真はブッキングを始め全体で物事を動かすオーガナイズ、私はテクニカルな分野が専門と、得意としている領域が違うぶん、お互いを信頼していないと一緒にはやれませんが、例えばブッキングに関しても、大真と小林が出してくる案は近い感覚を持っているのか大抵スッと理解できるんです」(岩崎)
とはいえおそらくそれだけではないはず。専攻は違えど(花岡さんはまったく畑の違うダイビング専攻)同じアカデミーで学んだというのが大きいのだろう。ビジネスとして音楽を見たときの捉え方や、お客さんに対して何をどうアプローチするべきか、そういった“社会で仕事をするうえでのイロハ”はアカデミーで叩き込まれたものであるのは間違いない。そこにブレがないからこそ、彼らは同じ方向を向いて大きな仕事を成し遂げることができているのだろう。
仲間との想いを大切に続けたい
『OURSONGS』のこれから

最後に『OURSONGS』のこれから、について水を向けてみた。
「先ほどもチラッと触れましたが、通常『OURSONGS』では、同じ志を持った仲間とやるというのが自分のテーマとしてあるので、ヒューマンアカデミー在校生や卒業生でほぼスタッフを固めるのですが、今回は規模が大きなったことで現地のスタッフさんをお願いせざるを得なかったのです。するとテクニカルな面での齟齬、例えば私たちが日常的に使っている用語が理解してもらえなかったり、といった課題が残りました。そういった同じ目線同じ想いが届いていなかった部分は足りていなかったなと。もちろんイベントとしてさらに大きくしたいというのはありますが、それよりも共通意識を持った仲間たちといい仕事をしたい、自分たちが一番楽しめる状況を作りたい、という想いの方が強いので、そこは今後に向けてのチャレンジですね」(岩崎)
「名護の人たちからも地域活性化にもなって喜んでいるという話も聞きますし、もっとやってくれという声も届いているので、『OURSONGS』はもちろん名護も盛り上げていけたらいいですね!」(花岡)

PHOTO:上新庄写真センター / TEXT:藤川経雄 / EDITORIAL:賀川 真弥