File No.007 Keido Tomosada

●プロフィール

友定 渓童さん Keido Tomosada
総合学園ヒューマンアカデミー大阪校
音響エンジニア専攻
2015年卒業

勤務先: 合同会社ミモロワークス映像担当
仕事内容:アイドル関連のMV等映像制作
現在の目標:MV監督

声優・俳優、ゲーム、音楽、動画、マンガ・イラスト、デザイン、IT、スポーツ、ビジネス、フィッシング、ヘアメイクなど。多岐にわたるカレッジの中で、各業界と連携した実践的なノウハウを学び、即戦力となるスキルを身につけられるのが総合学園ヒューマンアカデミー。学生たちはやがて社会でそれぞれの道を歩んでいくわけだが、具体的にはどんな職場でどんな仕事をしているのか? そんなヒューマン卒業生たちの“現在地”を、本人のインタビューと共に紹介する当企画。

今回は、2015年にヒューマンアカデミー卒業後、音響&レコーディングエンジニアとして活躍していたものの、あるきっかけで映像制作への転身した友定渓童さんにクローズアップ。

ステージを“支える”側に興味を持った高校時代

恩師との出会いからヒューマンアカデミーへ

「昔から裏方ばかりやってましたね。高校では軽音楽部に入っていたんですが、出演側というよりはPA担当とか、そっちばかりやっていました」

と語る友定さんは、そんな“根っからの裏方気質”が高じて音響エンジニアリングを学ぶためにヒューマンアカデミーに入学する。

「高校卒業となった時に、知り合いの年上の方々に相談したんですよ、音楽に関われる何かがしたい、と。そうしたらある方が自分の身内がレコーディングエンジニアやってるから一回見学に行ってみれば、とアドバイスしていただいたんです。そこで現場にお邪魔した時にいらっしゃったのが当時からヒューマンの講師もやられてた松永さんだったんです。

で、色々ご相談する中で、ヒューマンアカデミーというのがあって、松永さんは講師もやられているとなって、じゃあ勉強させていただきますと。もう自然な流れでした」

ちなみに松永氏は友定さんが現在所属している会社の代表でもある。つまりは師匠であり上司であり雇い主という、この松永氏との出会いが友定さんの人生を大きく変えることとなった。

アカデミーでは興味を持っていた音響エンジニアを専攻。

「講師である松永さんとも事前に知り合っていたというのもあったのですが、普通の専門学校とは違って、講師と生徒との距離が近さがとても自分に合っていたなと。講師と生徒という関係よりは、師匠と弟子というような感覚が近いかもしれません。教科書に載っていないリアルな実践の悩みとかにも実体験からくるアドバイスをいただけたり。

距離が近いという意味では、現場に参加させてもらうカリキュラムもあるのですが、そういう場面でも“学生だから”といった忖度もなく、厳しい言葉を投げかけてもらえたり。生徒の立場で社会人としての経験ができたのは本当に身になっていると思います」。

レコーディングエンジニアとしての下積み時代を経て

コロナ禍をきっかけに映像制作に転身

卒業後はそのまま松永氏のレコーディングスタジオで、まずは下積みを経験。歩合制だったこともあり、思うような仕事ができずに苦労したそう。

「実戦経験をたくさんさせていただいたのですが、完全歩合制だったのでなかなか大変な時期でした(笑)。3年目には店長という役職をいただていたのですが、仕事が取れずにアルバイトも二足の草鞋でやっていましたし、今では笑い話ですけど半年ほどホームレスをやっていた時期もありました(笑)」。

社会へ出て早々、世間の厳しさを目の当たりにした友定さんだが、コロナ禍を機に転機が訪れる。

とはいえ、同じ制作エンジニアリングだとしても、音と映像は近似的な業種と言えなくもないが、テクニカルな部分も含めて当然別物ではある。どのように友定さんはアジャストしていったのだろうか。

どんな業種でも仕事に挑む時の心構えは同じ

技術的にはとにかくやり続けるのみ!

「もともと自分がそういう性分なんでしょうが、コツコツマイペースにやり続けるというのが一番な気がしますね。とくにテクニカルな面は。それにヒューマンアカデミー時代に培った現場のマナーや心構え、案件に対しての仕事の進め方など精神論的な部分はとても役立っています。転身したとはいえ、そういった面は社会人としては当たり前に共通していますし、制作の現場はとくにコミュニケーションが大事なので」。

実際に案件を手がける場合においても、「まずお客さんとしっかりコミュニケーションを取って、相手が第一に何を求めているのか。クオリティなのか安さなのかスピード感なのか、を汲み取ることが一番大事だと考えています。それぞれの立場があるので、相手の考えてることを理解して要求に応えるというのは、じつはエンジニアにとってとても大切な部分。こういう考え方は、様々なジャンルを学べて、多角的な視点を持つ生徒仲間がいるヒューマンアカデミーだからこそ身に付いたものだと思ってますので、(ヒューマンアカデミーには)とても感謝してますね」。

様々な技術をMIXしながら

自分の映像スタイルを構築していきたい!

そんな友定さん、現在の業務内容は意外にも地下アイドルの仕事が中心だという。
「自社グループでアイドル運営をやっている関係もあって、地下アイドルの映像関連の仕事が中心ですね。技術的には3DCGとかVFXとか言われてる類のものなんですが、アイドルのMVやプロモーション映像などで、実写合成などもやったりしています。結局カメラマンとしての技術だけだと自分より上手い人はたくさんいるので、自分の特色としてそういった他の技術をミックスしながら自分の映像スタイルを構築できれば、と思いなから日々格闘してます(笑)。最近だとMVで使うプロップ(家具や小物などの造作物)を自作できるように3Dプリンターの勉強も始めました。

基本的にはこれから世に出ていこう!というインディーズのアーティストを手がけているので、二人三脚で一緒にコンテンツを作っていける関係性を構築できてるので、技術的にスキルアップを目指している自分にとってもいい環境だと思っています」

そのような環境であれば、やりがいなども大いに感じているのでは、と水を向けるとこんな答えが返ってきた。

「基本的には映像コンテンツなので、そのアイドルのお客さんと直に触れ合う機会はそうないのですが、稀にライブイベントなどでMV先行上映みたいなことがある時はやっぱりお客さんの直の反応が見られて嬉しいですね。次はもっとこうしようという意欲につながります」

ちなみに以前掲載したGENZAICHI File No.006の岩崎さんは現在在籍しているミモロワークスでも一緒に働いている先輩で、GENZAICHI FileNO.003の花岡さんとも近しい間柄にあり、イベント「OURSONGS」でも毎回スタッフとして参加している。

「自分は初回のOURSONGSから参加させてもらっているのですが、裏方チーム含めほとんどのメンバーの顔がわかるほど小規模のチームから手作りで始めて、前回の沖縄・名護のイベントではついに数千人規模にまで成長しました。あの光景はステージ袖から見ていて感動しましたね。

当初からDIY感覚で、できることはなんでもやる、という感じで自分も毎回業務内容が変わっているのですが(笑)、今回も我々卒業生だけではなくヒューマンアカデミーの在校生も一緒に運営に関わってくれて。講師と生徒、だけではなくてそういう卒業生と在校生の連携も、ヒューマンアカデミーでの“同じ学び”という芯があるからこそスムーズに、且つ活気のある運営ができていると思っていますね」。

先輩から後輩へのアドバイス

「自分は特に何かが秀でているタイプではなかったので、自分に言えることはとにかく辞めなければいつか必ずチャンスは巡ってくるよ、ということですね。自分の場合はコロナ禍での世の中の流れの変化をうまく掴んで、いままでの経験を応用することで適応することができました。社会に出れば当たり前に苦しい時期があるとは思うんですけど、辞めずにやり続けてれば必ず何かを掴めるチャンスがあるので、その来たる時のためにマイペースに自分のできることを磨き続けることが大事なんじゃないかと思ってますね」

PHOTO:上新庄写真センター / TEXT:藤川経雄 / EDITORIAL:賀川 真弥

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